Tag Archive | チベット問題

チベット蜂起記念日

3月10日はチベット蜂起記念日。

このサイトを訪れる人には要らぬ説明かも知れないが、一応1959年3月10日にダライ・ラマ法王を守り中国の武力支配に抗議するためラサ市民が「初めて」蜂起したことを記念した日である。(→Wikipedia「1959年のチベット蜂起」チベットハウス「ダライラマ法王が著した1959年3月10日」

昨年のチベットは、とにもかくにも焼身抗議の痛ましく悲しい一年であった。そして今もそれは続いている。

チベット同胞の悲痛な思いや焦燥感が如何ばかりか、当たり前のように日本人でいられる私にどこまで理解でき得るものかはわからない。それでも、もうこれ以上の命の犠牲がでないことを心から切に願う。とにかく今はそれしか無い。とにかく生きてください!生き残ってください!未来のため。それは来世のためでもあるのだから。

さて、International Tibet NetworkがYoutubeに声明を出したので、ここに貼付けておきます。日本語字幕付きですが、「続き」に字幕部分を書き留めておきました。一部(といっても少しだけ)私の判断で字幕とは違ったところがありますが、殆ど字幕の書き写しです。

引用元: Solidarity and Resistance: A Statement by the Global Tibet Movement – Japanese Subtitle – YouTube.

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今度こそ最後のパンダごと(追加編集)

いいかげんパンダのことは止めようと思っていたが、ツイッターでささやかながら反応があり、ちょっと考えるところがまたできちゃった。なので、もう少し書こうかどうしようか迷いながら、でも、なんか書いちゃおうかな。

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パンダはパンダなの

学術的にパンダをチベットだけに結びつける根拠が無いことについては、もう説明しない。
今回はそもそも論から。
そもそも、A(国)にもB(国)にも分布する野生の生き物を、今はAの方に多くが棲んでいるというだけで「Aの動物であってBの動物でない」と云う理屈は成立するかえ?成立するというのなら、残りのBに棲む生き物は、じゃあ何もんやねん?
こういう場合、「Aの動物」は勿論正解だが、「Bの動物」も正解。少なくともBにも生息しているから「Bの動物」を否定する根拠は無い。(もっとも動物にとってはAもBも無いのだが、まだそこには触れない。) 続きを読む…

60周年だと?それがどないした!&「もうひとつのチベット現代史」読了

1951年10月26日張国華を軍長とし譚冠三を政治委員とする主力1万6千の大部隊がラサに到着した。

それから60年、中国共産党によると今年はチベット開放60周年だそうだ。私のツイッターのチベット垢Tibet_G_Newsでも、稀に中国当局発信の60年の成果を誇示するニュースをピックアップしているけれど、勿論これはこの60周年に関係してのプロパガンダ。そもそもチベット侵攻以降、チベットにおいては反乱鎮圧、大躍進、文化大革命に至る惨禍は80年頃まで続き、経済発展どころか飢餓が発生して文化消滅の危機に瀕していた。教育にしても自然環境保護にしても、勿論経済発展にしても、その輝かしい「成果(数字)」ほど白々しいいモノはなく、民族の文化的独自性を全く度外視したものばかり。もっとも、中国当局発信の情報なんてそんなんばっかだけどね。

ま、そんなことを意識したわけではないけど、「もうひとつのチベット現代史」(阿部治平著、明石書店)を本日読了。結果的に良いタイミングであった。

History-mouhitotunotibetgendaisi

何年前か忘れたけど、図書館で見かけて以来ずーっと気になっていたけど、なんせ分厚いから後回しにしていたんだよね。

で、今回読んでみて、もっと早くに読んどけば良かったと思った。そうすればチベットの現代史をもっと立体的に理解できた。特にチベット人共産党員たちの視点が如何なるものなのか、それがうかがえる書物は、この本の他に私は知らない(無いとは言わんよ)。

本の副題”プンツォク=ワンギェルの夢と革命の生涯”の通り、この本はプンワンことプンツォク=ワンギェル(平措汪傑)の生涯を描いているのだが、その生涯を中心軸にチベットの現代史をも描き出している。それも、よくありがちな「フリチベ好み」の歴史とはひと味もふた味も違ったものだ。

プンワンは中国共産党に入党し、チベット侵攻部隊の通訳として大活躍したカムパ(東部チベット人)である。そして冒頭のラサ入城した赤い軍隊の中に彼はいて、ラサの市民から「赤いチベット人」と陰口を叩かれた。もしアナタがプンワンを知らないフリチベの人なら(特に2008年以降の熱烈なフリチベなら尚更)この二行で拒否反応を起こしすかもしれないけれど、でもね、寧ろそう言う人にこそ読んで欲しい気がする。ダライ・ラマ法王やチベット仏教関連、雪の下の炎など体験もの、オカメインコ先生の著書とか、要するに亡命チベット側の立場にたった著書もいいけど、そればかり読んでいても視野は広がらない。

マルクスレーニン主義に夢を描き、チベットを真に解放してチベット人のユートピアを実現しようと奔走したチベット人が本当にいたのである。勿論それがどのような結果を招くことになったかは、今のチベットを見れば言うまでもないが、現実に裏切られてもプンワンは逃げることなくチベットの現実を必死で支え続けた。(あ、誤解を避ける意味で念のため断っとくけど、“逃げる”は現実から逃げるという一般的な意味で、現実の出来事を暗に指し示すものじゃないからね)間違いなくチベット現代史のキーマンの一人である彼の足跡を辿ることは、チベットへの理解を一層深めてくれるだろう。おススメ。

新しい可能性へ

今朝ツイッターにピックアップしたけど、チベットやウイグルの運動家と中国人権運動家の結びつきは注目すべき動きではなかろうか。

記事の中にもあったけど、これまでチベットやウイグルの抗議運動と中国人権運動とは、連携が皆無というわけではなかったが、大局的には別々に動いていた。おまけに中国の人権運動と云えば法輪功絡みの一部の運動しか(少なくとも外部には)見えてこなかった。 続きを読む…

世界情勢の中のチベット問題

インドがチベット南側に偵察隊5000人―中国

2010/11/24(水) 19:25

インド軍は今月11日、チベットの南側にあたるアルナチャルプラデシュ州、5000人の「アルナチャル偵察隊」を新設、配置した。インド側はこれまで、「アルナチャル」という地名を出すことを意識的に控えていたが、この地名をつけた部隊が今回、初めて誕生した。インド各メディアはこのところ、14回目となる中印両国国境紛争調停会談が近くニューデリーで行われるとしきりに報じている。中国青年報などが伝えた。

両国国境紛争の調停会議を目前に控え、また、インドのシン首相が両国国交樹立60周年を記念して温家宝首相をインドに招待して2週間も経たないこの時期に、インド軍は国境に5000人規模の偵察隊を配置した。

偵察隊の隊長は、このような動きを弁解するかのように「中印国境地帯は現在、平和な状態にあり、中国側からの脅威はまったく感じていない。両国関係は極めて友好的だ」と話す。

中国の温家宝首相とインドのシン首相は、先月29日にベトナム・ハノイで10回目の首脳会談を行った。温家宝首相は両国の国交樹立60周年を祝うため、訪印する意向を示した。両国首脳は、双方が引き続き国境地帯の平和と安定を守り、平和と友好、対等な会話、相互尊重、相互理解という精神に基づき、お互いの関心について配慮し、双方がともに受け入れることができる公平で合理的な国境紛争問題解決案を模索していくことで合意に達した。

中国のアナリストは「両国国境に新たな武力配置を現時点であえて断行することは、インドにとって賢明な行動とは言えない。それどころか、自信のなさを自ら暴露しているようなものだ」と指摘する。(編集担当:松本夏穂)

チベット関連のニュースを拾っていて感じるけど、インドは軍事的にかなり中国を警戒してる。尤も、一方で経済的な関係を深めて互いに市場の旨味を求めあっているから、一部の人が期待する単純な「中国包囲網」なんてのは実質的には妄想と云えるレベルだろう。

チベットにとっては他人事どころか自分たちの未来に大きく影響する二国間の関係だけど、インドも中国も、それぞれ内に重症問題を孕みながら、周囲の隣接する国々(日本も含まれる)のほぼ全てとも殺伐とした難問を抱えている。そこに欧米露も加わって、まあ実にややこしい。

チベットにとって、やはり第一の頼りはアメリカであるのは確かだが、そのアメリカもイラク、アフガン、パレスチナ、北朝鮮を抱えてる。ちなみにイスラエルに最近ロシアが接近してきているというし、トルコは独自色を強めて(アメリカにとって)キカンボウになってきた。南米にもチャベスたち反米政権がおるしねえ。

更にアフガン問題ではパキスタンの存在がネックと云うか何ていうかね。パキスタンからすれば、カシミール紛争と北部の独立?(よく知らないが)運動とタリバン政権を上手く天秤にかけて微妙なバランスをとっていたのをブッシュJr.がぶっ壊したわけで、本音はいい迷惑だろう。更にムンバイのテロ事件と言った形でインドにまでトバッチリ。(この辺、かなり独断と偏見ありますが、ぶっちゃけこんなところではなかろうか。かなり乱暴だけども…)

とまあ、そんなわけで、まだまだ他にもあるけど、今やチベット問題一つ考えるにしても、いろいろ世界に目を向けなくちゃならんのだなこれが。大変よもウ。

もちろんチベットに限ったことじゃない。どんなに局所的な問題でも地球規模で世界各地と何らかの関係をもっている。

だからといって問題を徒に拡大して複雑にするのも現実的ではない。広い関係性を理解しながら焦点を絞ってゆかねばならない。この点で、単純に中国の悪口言ったり皮肉ったりするしか頭にない人は、チベット問題に関わる前にもっと視野を広げるべきだ。一つの方向から物事を見るだけでなく、逆の方向からも見る思考の目をもたない人は、狡猾な人に利用されるのが落ちだわね。

 

ちと一般論の方に話が広がりすぎたな。時間も時間なので、この辺にしておきますが、何れにしてもインドと中国の関係は、今後ますます注意深く観察する必要がある。